47億分の1

世界にこんなにも人はいるけれど一生のうちに何人の人と繋がりが持てるだろう。

それってとってもすごいことだよ。



と、友人は言った。



ふと、彼と抱き合った日を思い出す。


私は確かに彼に抱きしめられてキスをした。


そこにはしっかり現実があった。

私の体は彼のあたたかさや、心地良さを知っている。


まるでもうずいぶんと昔のことと思っていたけれど確かに私は彼と一瞬でも深く繋がったのだ。


あのとき、拒否してれば未来は違ったかな。


あのとき、彼に問いかけなければ今も会えてたかな。


あのとき、メールしなければむこうからきてたかな。


あのとき、自分の価値を下げなければ。



あのとき。




後悔先に立たず、というから先に後悔なんて出来ないのだけど。


腹立たしいことも、適当に扱われていたとしても、悲しみも、自然と浄化される。


彼の魅力だけが残って抜け出せない。



私じゃなくても良かったんじゃないの?


それは、きっと彼も私に対して俺じゃなくてもいいんでしょと思っている。


私がそう思わせた。


重く思われたくなくて、順番が違っていることも、体だけの関係であることも、気にしていないように見せていた。


それがそもそも間違ってたのかな。
もっと素直にすがれば良かったのかな。


私、ほんとは感情がなかったらこんなことしないよ。


好きだよ。


ほんとにそれだけ、の関係はあなたが初めてだよ。



7年前好きな人に、振られた。


7年後再会して、近付いた。


そしてまた離れた。


47億人の人口がいる中で、一度好きになって振られた相手を大人になってから再び恋をして、繋がって離れていく確率は何分の一だろう。



きっと何年か経ってもし偶然また出会ったら、私はまた性懲りも無く心を揺らすのだ。