悪夢さえも愛おしい。
久しぶりに君が夢に出てきた。
あなたが旅立って間もない頃は頻繁に見ていたけれど、最近は慣れてきたからかぱったり見なくなってたのに。
夢の中の君の姿や声がハッキリ見えて、聞こえて。
君を好きになる女の子が現れても、伸ばした腕を振り払われて夢の中の私も同じだけ傷ついても、君の姿が見れる。
それだけで幸せだった。
夢の中の君はあきらかに私を拒絶していたし、私も愚かな人間になっていた。
不安で仕方なくて、探るような言い方して君を好きな女の子と君が繋がっていないのを知ってとてもホッとする自分が嫌で。
好きだと伝える勇気もないくせに、こうして脅かす存在が現れると慌てて取られないようにする。
背中に触れるだけなら良い?
腕を振り払われた私は確かにそう言った。
どんなに拒絶されても、辛そうな君から離れることはできなくて道路の隅で項垂れてるあなたの背中を泣きそうな想いでさすっていた。
一緒にいた別の友人が君に言った。
おまえは自分のことしか考えられない。
夢だったけどリアルだった。
そのあと、私は?とわざわざ訪ねて友人に何か助言してもらったのだけど、それが何だったか私はいまいち思い出せないでいる。
なにかとても大切なことを言ってもらった気がするのに。
私の直さねばいけないことはなんだろう。
とてもじゃないけど幸せな夢ではなかった。
でも君が出てきたというだけで、不幸な夢すら幸せになるのだよ。
夢でもいいから会いたいよ。
君は今日、なにしてますか。